アルコールと次亜塩素酸水溶液の「使い分け」がおすすめな3つの理由
手指消毒にはアルコール、それ以外には次亜塩素酸水溶液を
新型コロナウィルスの感染拡大で、除菌用のアルコールが不足した2020年初め。
次亜塩素酸水溶液が除菌に効果があるかもしれないということで注目を浴びはじめ、その後、
「次亜塩素酸水溶液はアルコールの代替品として新型コロナに効果がある」
と各省から発表がありました。
(※参考「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」)
ただそれはあくまで物品の除菌用途の場合で、手指消毒に関してはアルコールのほうが速乾性もありますし、そもそも手指の消毒として認められているのはアルコールです。
次亜塩素酸水溶液も効果は認められていますし、弱酸性のため皮膚にも安全ですが、多くの次亜塩素酸水溶液は雑品扱いで、薬機法により「人間の皮膚に使用してよい」とは謳えません。
そういった点で、手指の消毒にはやはりアルコールが適していると言えそうです。
※アルコールでは手が荒れてしまう方や、ノロウィルスにはアルコールでは効果が不十分などの理由であえて次亜塩素酸水溶液を積極的に使用されている場合もありますが、あくまで個人の判断での利用となります。
ですが、手指消毒以外では、実は以下のようにアルコールよりも次亜塩素酸水溶液のほうが優れている点があります。
そのため、アルコールがあれば大丈夫という訳でもなく、
手指消毒にはアルコール、それ以外の除菌には次亜塩素酸水溶液、という
「使い分け」が賢い除菌液の選択肢になるのではないか?!
という可能性が見えてきました。
今回は、手指消毒以外においての次亜塩素酸水溶液の優位性をお話していきます。
1.次亜塩素酸水溶液なら除菌作業の効率アップが可能
不特定多数の方が出入りする店舗や飲食店やホテルなどでは、
従業員の方々が、手の触れる箇所などを中心に定期的に除菌されています。
ひとつひとつ手で拭きあげていく必要があり、大変な時間と労力がかかります。
「面倒だから全体的にふきかけたい」と思っても、例えばアルコールですと引火性があるので空間に噴霧することはできません。
そんな時は、次亜塩素酸水溶液の出番です!!
次亜塩素酸水溶液は引火性がありませんので、噴霧器等で全体に行き渡らせることができたり、持ち運びができるブロワーなどで広範囲に霧状にして噴射することができます。
そのため、広い場所や、手で拭きにくい形状のものがある場合などでも、効率良くしかも楽に除菌作業が行えます。
2.次亜塩素酸水溶液はプラスチック類への心配が少なく、貯蔵制限もない
プラスチックの中には、アルコールの使用に注意が必要なものがあり、
アクリル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、等がそうなのだそうです。
例えば、
・コロナ感染対策で普及したアクリルパーテーションは、白化してしまう
・ポリスチレンも細かいヒビ(ケミカルクラック)が入ってしまう
・透明なAS樹脂はアルコールを繰り返し使うと白くなる
・ABS樹脂もアルコールを長時間入れておくと膨張し変形してしまう
などとも言われており、プラスチック類は素材をよく確かめてから使用する必要があります。
一方で次亜塩素酸水溶液は、プラスチック類への影響は少なく、気にせずに除菌できます。
日常的な除菌で使用する100ppm程度では、すぐに拭き取りをするなど適切に使用すればそれほど心配はしなくても大丈夫です。
※素材への影響が不安な場合は、目立たない箇所での使用を推奨しています。
次亜塩素酸水溶液の使い方や使える素材の詳細については、「ウィッキルの使い方」もご覧ください。
アルコールを使用してよい素材かどうかを1つ1つ確かめていくのはかなり煩雑ですし、いくつかのポイントを抑えておけば次亜塩素酸水溶液の方が扱いやすい場合があるといえそうです。
また、消毒用アルコールは消防法により貯蓄できる量が決まっていて、60%以上のアルコールは80L以上で消防へ届出が必要となります。
「万が一の場合に」とたくさん貯蓄しておきたいところ、それはできません。
一方、次亜塩素酸水溶液は貯蓄に関する制限はありませんので、有事のときのために貯蔵しておくこともできます。
除菌効果や消臭効果が認められ、最近では防災用品としても注目を集めています。
次亜塩素酸水溶液は、「濃度低下がおこりやすいため、使用期間が短い」という弱点がありますが、使用期限が半年間以上の商品も多く、適切に管理すればさほど期限を気にせずに使うことも可能です。
3.次亜塩素酸水溶液なら運用コストを抑えられる!
もちろん、メーカーによって価格は異なりますが、
一般的にアルコールよりも次亜塩素酸水溶液のほうがコストを抑えられます。
70%アルコールの市販価格は概ね5Lで5,000 円~6,000円前後ですので、1L あたり1,000 円となります。
それに対して、希釈して使う次亜塩素酸水溶液は、例えばウィッキル1000(※1000ppm) は18L で税込定価21,560 円ですが、一般に物品を除菌する濃度100ppm にすると10 倍希釈となり180L 分作ることができます。
計算すると1L あたり約120円となり、大幅なコストダウンとなるのがお分かりいただけると思います。
そのため、手指にはアルコール、それ以外のモノについては次亜塩素酸水溶液、という風に使い分けをすればコストを大幅に抑えた運用が可能となります。
まとめ
アルコールと次亜塩素酸水溶液、どちらも感染対策に大変有効なものです。
何がどう違うのか、どちらがどういった面でいいのかを理解して、適材適所で使い分けると、より効率的・効果的な除菌ができるのではないでしょうか?
除菌が当たり前となる世の中で、これからの課題となってくることと思います。
※次亜塩素酸水溶液がアルコールと比べてどんな点で優位性があるのかについては、「アルコールとの比較」をぜひご覧ください。