災害時に100ppm程度の次亜塩素酸水溶液が役立つといえるワケ
このところ地震が増えているように感じられます。
大地震の予測も様々ありますが、そもそも日本は地震が多いため、不安は尽きません。
また、近年は台風や大雨による線状降水帯で川が氾濫したり土砂崩れが起きるなど、気候の影響で停電や断水となりライフラインが簡単に遮断されてしまう例も多くなっています。
備えとしてはまず安全確保の為の備品や非常食、飲用水などが挙げられますが、近年では菌やウィルスの存在も気になりますし、避難所生活の可能性も含めて、災害時の「環境全体への対応」の視点が重要です。
なお、被災した環境の消毒にはアルコールや次亜塩素酸ナトリウムが推奨されていますが、消臭効果や扱いやすさなどの点で、災害時には日常の除菌・消臭に原液で使用できる次亜塩素酸水溶液がそれらと比べても役立つ場面が大いに考えられます。
そこで今回は、災害時に原液で使用できる(100ppm程度の)次亜塩素酸水溶液が有効活用できる可能性について考えていきたいと思います。
1.災害時にはアルコールよりも優位性が際立ちます
1-1.次亜塩素酸水溶液はアルコールよりも広範な菌に有効
災害時には、日常生活では遭遇しない様々な菌やウィルスに脅かされるリスクが増します。
泥水や土砂等の浸入、下水設備の停止や逆流、食品や廃棄物の保存体制不備、身体の衛生悪化など、水や電気、ガス等が断たれることによる衛生状態悪化のきっかけは挙げればきりがありません。
そしてそのような状況下では、様々な菌やウィルスが繁殖する恐れがあります。
普段の生活で、もっとも身近な消毒剤といえばアルコールです。
しかし、実は次亜塩素酸水溶液の方が対象が広く、「アルコールで効かない菌やウィルスにも有効」ということはご存知でしょうか。
ウィルスには、膜を持つ「エンプローブウィルス」と、膜を持たない「ノンエンプローブウィルス」の2つのタイプがあります。
前者は新型を含むコロナウィルスやインフルエンザウィルスなどが代表例で、アルコールが膜を壊すことで感染力を失わせることが可能です。
ところが、ノロウィルスやロタウィルス等が属する後者は膜を持たず、アルコールに強いとされています。
次亜塩素酸分子(HOCL)は細胞膜を通過し直接内部に攻撃できるため、次亜塩素酸水溶液はそのようなタイプのウィルスにも有効なのです。
※あくまで次亜塩素酸水溶液の有効性についてであり、個別商品の効能ではありません。
尚、厚生労働省が新型コロナウィルスへの有効性として認めている次亜塩素酸水溶液の濃度は、80ppm以上です。
(参考)新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
アルコールがあるとつい安心してしまいますが、例えば土砂や汚水の侵入時などのように、どんな菌やウィルスが存在するかも分からないような状況下では、次亜塩素酸水溶液の方が安心に繋がる可能性があります。
1-2.次亜塩素酸水溶液はアルコールよりも消臭力が高い
災害時には、日常生活のような衛生環境の維持が困難です。
被害の内容や規模によってはすぐに復旧できるとも限らず、消毒や片付けに時間がかかる場合もあります。
そうなると衛生状態が悪化した状況が続くことで、必ず「臭い」が問題となってきます。
そしてここでも、アルコールより次亜塩素酸水溶液の方が消臭効果が高いことが役に立ちます。
次亜塩素酸水溶液は、臭いの元となる有機物に触れると化学的に分解し、臭いの発生を抑えます。
アルコールにも消臭効果はありますが、次亜塩素酸水溶液は化学的に反応しやすい構造をしており、消臭面でも力を発揮してくれます。
※例えばどのような臭いに対して効果があるかについてですが、次亜塩素酸水溶液ウィッキルでは8つの臭い成分において消臭効果試験を行った例があります。
詳しくは「ウィッキルのエビデンス」ページをご覧ください。
※また、「ウィッキルの導入事例」では、様々な業種において実際に消臭効果を実感し評価いただいている声をいくつも掲載しています。こちらもぜひご覧ください。
1-3.災害時は手指消毒よりも「モノ」の除菌需要の方が多い
災害時には、環境全体の衛生状態が悪化します。
床や壁など住宅設備のほか、家具や備品など様々なモノが対象になりますし、その面積はかなり広く、大量の液剤が必要になります。
アルコールは、手指をはじめ様々なモノの消毒に使われますが、プラスチック製品に使用しているとヒビが入ったり変形する恐れがあるほか、透明なアクリルパーテーションでは白く曇ってしまうことがあるなど、使用する素材について多少気にする必要があります。
一方で次亜塩素酸水溶液は、速乾性はありませんが、水が使える場所であれば大抵の場合素材を気にせずとも使えます。
また、次亜塩素酸水溶液対応の噴射機や噴霧器などを用いて空間全体に噴霧することも可能です(アルコールは引火性があるため、噴霧はできません)。
アルコールは新型コロナウィルスの流行を機に手指消毒の用途が一般的になりましたが、モノや環境の除菌をしようとすると大量に消費することになるため、他に使いたい場面があっても使えなくなってしまいます。
全てに対してアルコールを使用するよりも、「手指や飲食まわりはアルコール、他のモノには次亜塩素酸水溶液」といった使い分けをする方が、在庫切れのリスクも含めて管理しやすいといえるのではないでしょうか。
2.災害時には次亜塩素酸ナトリウムよりも優位性が際立ちます
2-1.次亜塩素酸水溶液は次亜塩素酸ナトリウムよりも安全で扱いやすい
次に、災害時において次亜塩素酸ナトリウムと比べた次亜塩素酸水溶液の優位性はどのような点があるでしょうか。
その代表的な点として、「安全性」が挙げられます。
次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性ですので、直接触ったり吸引したりすると大変危険です。
使用する際にはゴム製などの手袋をして直接触れないようにしたうえで、窓を開けるなど充分な換気を行った上で使用する必要があります。
また、人体に対して危険なだけでなく、その強力な漂白・腐食作用によって、対象の素材自体を強く傷めてしまう恐れもあります。
一方で次亜塩素酸水溶液は弱酸性ですので肌に触れても安全なほか、必要以上に素材を傷めず、換気についても100ppmであれば特に気にする必要はありません。
また、次亜塩素酸水溶液は有機物に反応した後は「水」に変わるため、使用後に拭き取れば残存物についての心配もいりません。
災害時には誰もが精神的・肉体的、また物資にも余裕がなく、取扱いが面倒な消毒剤の使用には余計な負担やストレスがかかりがちではないでしょうか。
このような状況下では、次亜塩素酸水溶液の安全性が平時よりも一際有難い存在となる筈です。
2-2.100ppmの次亜塩素酸水溶液は使用前の準備が不要
災害時には、水が不足し、一際貴重な存在になります。
2022年夏の静岡県内一部地域断水の例では、季節事情もあり水の重要性を改めて強く認識させられました。
水は様々な用途で使用したい状況にも関わらず、次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は必ず希釈が必要なため、貴重な水を消費してしまいます。
消毒目的とはいえ、限られた水を使用することは、災害時には極力避けたいところです。
一方、次亜塩素酸水溶液は100ppm程度ならば除菌・消臭用に原液そのままを使用できます。
希釈用にカップ等で分量を量る手間や、うっかりこぼしてしまって痕が残るというような煩わしさがありません。
災害時には何かと必要な物資が揃わないことも有り得るため、準備不要でそのまま使える利便性が重宝されます。
※次亜塩素酸水溶液は、高濃度の1000ppm等の商品も存在しますが、コストパフォーマンスが高い一方で都度希釈が必要になるため、特に災害時の使用においては100ppmが圧倒的に便利です。
3.災害時は除菌だけでなく消臭需要も高まります
災害時には次亜塩素酸水溶液の消臭効果が役に立つことは述べました。
ここで大事なことは、消臭の重要性が日常生活よりも圧倒的に高まる、ということです。
特に、水道や電気、ガスといったライフラインに支障があるような状況では、満足に衛生環境を維持することが困難になるためです。
自宅にいても、トイレ、衣類の洗濯、マスク、食品やゴミ、お風呂…と様々な場面で臭いの発生と向き合う必要があります。
また避難所生活においては集団生活となるため、上記に加えて寝具や呼気など、狭いスペースにより自他の生活臭が一層気になります。
つまり、衛生と共に臭いの問題が通常よりもクローズアップされるため、消臭需要は一気に高まります。
そんな時、気軽に使えて、除菌だけでなく消臭でも大活躍する次亜塩素酸水溶液のメリットが一際役に立つのではないでしょうか。
4.災害時に作業者を守るオススメの使い方
災害が起こった後、後片付けをしなければなりません。
特に浸水が起こったあとは、乾燥してから様々な菌やウィルスが飛散している可能性があり、作業者の感染リスクも高まるためどうしても不安が大きくなります。そんな折にも次亜塩素酸水溶液は活躍します。
後片付けをする際、菌やウィルスが飛散している可能性があり、そこから感染症を引き起こすリスクもあります。
マスクやゴーグルをしたり、厚い手袋や長靴等で身体をガードすることも重要ですが、さらに、現場に入ってから作業するまで次亜塩素酸水溶液をスプレー等で空間に吹き付けながら向かえば、そのリスクは最小限となると考えます。
また、畳やカーペット、ソファ等も浸水して使えない場合は廃棄する必要があります。
これらを廃棄するために動かす際にも、菌やウィルスが舞う恐れがあります。ものを動かす前に、たっぷりの次亜塩素酸水溶液をかけてから処理をすることで、菌やウィルスが不活化され、感染リスクが減るでしょう。
ニオイに関しても、対象物へ向かうまでの間噴霧することで、不快感も軽減できることでしょう。
まとめ:災害時は次亜塩素酸水溶液があると除菌・消臭に便利
いかがでしょうか。
次亜塩素酸水溶液がアルコールや次亜塩素酸ナトリウムと比べて優れている点は知られていますが、特に災害時においてそれらが一層際立つ可能性があることについてご理解いただけましたでしょうか。
次亜塩素酸水溶液は濃度低下が起こりやすいため、保管期限が短いのはネックではありますが、
一般的に100ppm程度の濃度が低いもののほうが、高濃度のものより濃度低下が起こりにくいので、比較的長期間備蓄しておくことが可能です。
食品のようにローリングストック方式(古いものから使用する方式)をとるというのも1つの方法かと思います。
(参考)できることから始めよう!防災対策 内閣府防災情報のページ
まだ災害時に次亜塩素酸水溶液を有効活用する流れはそれほど多くはありませんが、非常時に次亜塩素酸水溶液を活用する場面が広がっていくことを願っております。