次亜塩素酸水は「次亜塩素酸(HOCl)」を主成分とした水溶液で、高い除菌力と安全性を併せ持つため、食品、医療、農業、畜産、介護、保育をはじめ様々な業界で使用されています。
また、アンモニアなどのにおいの元となる物質を化学的に分解・除去するため、強い消臭力を持っています。
しかし一方で、「塩素濃度が高いほど成分が不安定で時間経過により濃度が低下する」ほか、「紫外線や温度にも弱く保管には遮光・冷暗環境が必要」という弱点があります。
また、アルコールなどと比べても歴史が浅く認知が不十分、有効性や使用方法に対する正しい評価体系が未整備、という課題もあります。
※特に、「次亜塩素酸ナトリウム」とは名称が似ているが全く違う別物で誤解を生み易いため、ご注意ください。(次亜塩素酸ナトリウムとの比較はこちら)
●主成分の「次亜塩素酸」は、白血球の一種である好中球が体内に侵入した菌やウイルスを攻撃する際に生成する成分
●性状は弱酸性~微酸性であり、人間の皮膚や粘膜と近く刺激性が少ない
→体の内と外、どちらにもやさしいのが特徴です。(但し、飲用ではありません。)
●厚生労働省が「食品添加物(殺菌料)」に指定、「次亜塩素酸水※1」という名称で食品の殺菌にも使用されている
●高い除菌力に加えて作物や土壌への低残留性があることから、農林水産省が「特定農薬」に指定している
●菌などの有機物に触れると反応・分解し、「水」に変化する
→人だけでなく自然環境への負荷が低いのもポイントです。
※1厚生労働省が「食品添加物(殺菌料)」指定する「次亜塩素酸水」とは、「塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を電解」して生成したものとされています(下図参照)。
他の原料(例えば次亜塩素酸ナトリウム)・製法(例えば混合法)により生成したものも結果としての成分は同じであり、業界団体「JFK(一般社団法人次亜塩素酸水溶液普及促進会議の略称)」では総称して「次亜塩素酸水溶液」と呼んでいます。よって、ウィッキルも「次亜塩素酸水溶液」となり、近年ではそう呼んでいます。
【「次亜塩素酸水(食品添加物)」の生成方法イメージ】
次亜塩素酸分子(HOCl)は「細胞膜を通過し、直接内部の栄養素やエネルギー源を変性または消費させて不活化させる」ため、アルコールでは効きにくいノロウイルスなどの芽胞菌も除菌可能です。
【次亜塩素酸による除菌のイメージ】
※塩素による殺菌でよく使われる「次亜塩素酸ナトリウム」の主成分「次亜塩素酸イオン」は細胞膜を透過できず、除菌作用に時間がかかります。
そのため、「次亜塩素酸の殺菌力は次亜塩素酸イオンの約80倍高い」(厚生労働省「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」より抜粋)とされています。
【次亜塩素酸水が有効な主な菌・ウイルス】
黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌(O-157)、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、ノロウイルス、インフルエンザウイルスなど
※厚生労働省「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」より一部加工
※凡例:◎(即効)>○>△>▲>✕
※全ての菌やウイルスを100%除菌できるわけではありません。
※あくまで次亜塩素酸水の有効性についてであり、個別の製品の効果ではありません。
※厚生労働省の指定する「次亜塩素酸水」以外の次亜塩素酸水溶液は「雑貨」であり、「医薬品」ではない為、個別の商品においてノロウイルスやO-157を含む菌やウイルスへの効果を謳うことはできません。
※薬機法の影響による次亜塩素酸水溶液の表示規制について、コラム『薬機法により、次亜塩素酸水溶液は「消毒」「殺菌」「予防」「手指に使える」とは言えません』にも記載していますのでぜひご覧ください。
においの元となる原因物質(※有機物)を化学的に分解・除去し、無臭成分と水に変わるためです。
【次亜塩素酸による消臭のイメージ】
※無機物には消臭効果は発揮されません。
1980年代 | 日本で強酸性水として誕生 |
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2002年 | 厚生労働省が「食品添加物(殺菌料)」に指定 |
2014年 | 農林水産省が特定農薬に指定 |
2020年5月 | 経済産業省の外郭団体である「NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)」が「新型コロナウイルスへの効果は確認できていない(※検証途中の為)」と発表したところ「効果が無い」と誤報道されたことで注目された |
2020年6月 | NITEより正式に「(新型コロナウイルスには)80ppm以上で有効」と発表されたが、ただし有人空間での噴霧は(※これも未検証の為)「非推奨」とされた(→「空間噴霧について」へ) JFK等の業界団体は、各種エビデンスを基に次亜塩素酸水溶液の安全性と有効性を継続して主張 ※空間噴霧に関するWHO(世界保健機構)への問い合わせの回答として、「次亜塩素酸水は空間噴霧が禁止されている消毒剤にはあたらない」と返答あり(※詳細はJFKの発表をご参照ください) |
2021年10月21日 | 有人空間での噴霧について、厚生労働省から「メーカーの安全性情報や使用上の注意を守って消費者の判断で使用してよい」という内容の事務通達文書が、各都道府県・保健所設置市・特別区宛てに発信された →内容について詳しくは「ウィッキル通信 号外」(株式会社 万立サイト)をご覧ください。 |
2021年11月30日 | 経済産業省が、厚生労働省・消費者庁との合同で(新型コロナウィルス対策として)公開していた「次亜塩素酸水を使ってモノのウイルス対策をする場合の使用方法」ポスターを修正(※厚生労働省サイトへ) (主な修正内容) ・タイトル「注意事項」→「使用方法」へ ・「アルコールのように少量をかけるだけでは効きません」→削除 ・「表面を『ヒタヒタ』に濡らす」→削除 ・「20秒以上時間をおいてから拭き取る」→削除 ・「人が吸入しないように注意してください」→削除 ・「人がいる場所で空間噴霧すると吸入する恐れがあります」→削除 |
塩素濃度は「ppm(ピーピーエム)」で表され、除菌力の要となる数値です。
例えば厚生労働省が発表した新型コロナウイルスに効果のある濃度は「80ppm以上」とされています。
ppmが高いほど除菌力は強くなりますが、一方で繊維類の脱色や金属腐食などのリスクも大きくなるため注意が必要です。
一方、「pH(ピーエイチ)」は、酸性~中性~アルカリ性の液性を示す値で、次亜塩素酸分子の残存比率に影響しています。
pH4~6前後が最も有効塩素残存率が高く、化学的性状は微酸性~弱酸性です。
※有効塩素濃度を表す「ppm」と「pH」の関係について、
コラム「次亜塩素酸水溶液の除菌力は「ppm」をみればOK?「pH」との関係は?」もぜひご覧ください。
【次亜塩素酸水溶液の有効塩素濃度(縦軸)とpH(横軸)の関係】
次亜塩素酸ナトリウムは人体に有害な強アルカリ性(pH12以上)であり、「次亜塩素酸(HOCl)」は少なく「次亜塩素酸イオン(OCl-)」の比率が高くなっています。
※名称が似ている為間違われることがありますが、取扱いにはご注意の上、絶対に空間噴霧は行わないでください。
1.人体への安全性が高い(皮膚への毒性が低い、有毒ガス発生リスクがない)
2.環境負荷が低い(漂白・金属腐食のリスクが低い)
3.消臭効果が高い(次亜塩素酸の成分特性)
次亜塩素酸水溶液 | 次亜塩素酸ナトリウム(12%) | |
---|---|---|
主成分 | 次亜塩素酸分子 | 次亜塩素酸イオン |
化学式 | HClO | NaClO |
構造式 | H-O-Cl | Na-O-Cl |
科学的性状 | 微~弱酸性(pH5.0~6.5) | 強アルカリ性(pH12以上) |
除菌力 | ![]() 次亜塩素酸ナトリウムと同等以上の除菌力 | ![]() 除菌力は高い |
人体への安全性 | ![]() ・弱酸性で手荒れしない | ![]() 皮膚、体内への毒性が強い(誤飲・吸入は要注意) |
環境への負荷 | ![]() ※高濃度では素材によって色落ちや腐食の可能性あり | ![]() 漂白、素材の強い傷みや劣化あり |
消臭効果 | ![]() 高い消臭力あり | ![]() 消臭力あり |
扱いやすさ | ![]() ・危険性は低い | ![]() 換気・手袋が必要 |
次亜塩素酸ナトリウムは漂白や除菌用で長らく親しまれていますが、取扱いに注意が必要なうえ、素材へのダメージも大きいという難点があります。
そのため、毎日の除菌清掃を次亜塩素酸水溶液(※ウィッキル)に切り替えた事業者様からは、
「扱いやすいので清掃効率があがりました。」(病院、「ウィッキル通信11号」より)
「手荒れがしたり、金属部分が腐食したり、またニオイも強かったですが、そのような問題が全くなくなりました。」(上記同)
「トイレを塩素系漂白剤で掃除するといろんなところが劣化していたように思いますが、そのような心配がなくなりました。」(グループホーム、「ウィッキル通信13号」より)
といった声をいただいています。
1.除菌力が高い(アルコールよりも広範な除菌が可能、希釈して使用するとコストパフォーマンスも向上)
2.安全性が高い(手荒れが少ない、引火性が無く貯蔵量規制もない)
3.消臭効果が高い(次亜塩素酸の成分特性)
※液性が弱酸性のため手荒れのリスクは低いですが、厚生労働省は「手指消毒は非推奨」としています
次亜塩素酸水溶液 | アルコール | |
---|---|---|
主成分 | 次亜塩素酸 | エタノール |
除菌力 | ![]() アルコールよりも広範囲の除菌が可能 | ![]() 一部のウィルスには効果なし |
人体への安全性 | ![]() ・弱酸性で手荒れしにくい | ![]() ・多用すると手荒れ要因 |
消臭効果 | ![]() 高い消臭力あり | ![]() 消臭力は弱い |
扱いやすさ | ![]() ・危険性が低い | ![]() ・速乾性あり |
また、一般的に次亜塩素酸水溶液の方がアルコールより低コストなので、日々の除菌コストが気になる場合は次亜塩素酸水溶液の利用がお勧めです。
アルコールから次亜塩素酸水溶液(※ウィッキル)による除菌に切り替えた事業者様からは、
「工場などの広範囲な職域などでは、大量の消毒液を必要とするため、アルコールでの消毒作業は現実的ではありません。」(工場、「ウィッキル通信17号」より)
という声をいただいています。
次亜塩素酸水溶液は超音波噴霧器などによる空間噴霧が可能であり、より効率的・効果的に広範囲の除菌を行えます。
(※アルコールや次亜塩素酸ナトリウムは空間噴霧できません)
また、室内を広く除菌できるため、菌やウイルスを抑制するほか、生活臭やペット臭等を消臭し爽やかで快適な空間にする効果もあります。
(→空間噴霧については「効率的な除菌方法」へ)
※厚生労働省は「有人空間での噴霧は非推奨」としていますが、同省が実際に空間噴霧に関する評価試験等を行ったわけではありません。
さらに2021年10月21日、厚生労働省から各都道府県・保健所設置市・特別区宛てに
「メーカーの安全性情報や使用上の注意を守って消費者の判断で使用してよい」という内容の事務連絡文書 (※厚生労働省のホームページへ移動します)
が発信されており、厚生労働省が次亜塩素酸水の空間噴霧を禁止していないことを認めたこととなります。
一方で、次亜塩素酸に関する有識者の方々が数々の試験を行い、安全性が評価されております。
万立では、今までウィッキルを販売してきましたが空間噴霧による健康被害の報告もないことから、空間噴霧を推奨しております。
尚、海外では次亜塩素酸水溶液の有人空間での噴霧も行われています。
→「次亜塩素酸水溶液普及促進会議(通称:JFK)」(※外部サイト)では世界各国での次亜塩素酸水溶液の有人空間での噴霧事例を多数紹介しています
また、同団体では、2021年8月26日付の発表において
世界初!次亜塩素酸水の空間噴霧の安全性がヒトを用いた臨床試験で確認される(※外部サイト)
として、有人空間での噴霧における臨床試験により安全性を確認したことを公表しています。
※空間噴霧によって全ての菌やウイルスを100%除菌できるわけではありません。
※噴霧には次亜塩素酸水溶液対応の噴霧器を使う必要があります。
1.花粉を不活化
花粉アレルゲン物質を分解し不活化させる効果により、室内を快適にします
2.カビを抑制
カビの発生を抑えたり、次亜塩素酸水を空間に噴霧することでエアコン内部の臭いが消えるといった効果もあります
3.生花が長持ちする
水道水の代わりに次亜塩素酸水を使うと、より長持ちします